歯の矯正治療は歯並びが綺麗になって矯正装置を取り外すことができたら終わりだと思っているかもしれませんが、装置を外してそのままだと歯並びは崩れてしまいます。
この記事では、リテーナーの役割や種類などについて、分かりやすく解説しています。
Contents
- 1 リテーナーとは
- 2 リテーナーを使用しないと矯正後の歯が戻ってしまう理由
- 3 リテーナーの種類
- 4 マウスピース型
- 5 ワイヤー型
- 6 プレート型
- 7 いつまでリテーナーを装着するのか
- 8 リテーナーの1日の装着時間
- 9 保定期間中の通院はどのくらい?
- 10 リテーナーを使用しているときは痛い?
- 11 リテーナー装着で痛みを感じるときは?
- 12 きつい、浮いた感じがする、フィット感がない
- 13 前歯が動いた感じがある、デコボコが気になる
- 14 「後戻り」しないために意識することはある?
- 15 親知らずによる圧迫
- 16 リテーナーの料金はどのくらい?
- 17 リテーナーの費用の目安
- 18 リテーナー装着についてよくある質問
- 19 リテーナーをつけ忘れたらどうなる?
- 20 リテーナーをつけたまま食事はできる?
- 21 歯磨きのときはどうする?
- 22 リテーナーはずっと同じものを使う?
- 23 リテーナーを作り直した場合はどうなる?
- 24 リテーナーを卒業したら美しい口元に
リテーナーとは
リテーナーとは、歯を矯正治療に使用する保定装置のことをさし、矯正装置を外した後に歯並びが「後戻り」することがないよう位置を安定させるために使用します。
リテーナーの使用は矯正治療後の状態を保つために非常に重要な役割を担っています。
矯正治療の効果を台無しにしないためにも医師の許可がでるまでしっかり使用期間を守りましょう。
リテーナーを使用しないと矯正後の歯が戻ってしまう理由
矯正装置で移動させた歯の周辺組織では、矯正後の状態を安定させるために「作りかえ」が行われています。
作り変えには一定の期間を要し、その期間はまだ歯が安定しておらず、元の場所に戻ろうとする力が働いているためリテーナーを使用しないと歯が戻ってしまいます。
リテーナーの種類
リテーナーには、「取り外しが可能なタイプとできない」や「全体的を覆うのではなく、部分的もタイプ」というように種類があります。
利便性などの理由から取り外し可能なタイプを希望する場合が多いですが、状態によっては固定式のタイプが望ましいケースもあります。
リテーナーの種類には大きく分けて「マウスピース型」「ワイヤー型」「プレート型」の3種類があり、それぞれの種類について特徴を解説します。
マウスピース型
- ◆清掃しやすい
- ◆見た目が良い
- ◆慣れるまで違和感がある
マウスピース型のリテーナーは個人の歯並びに合わせて作成します。
単独使用だけでなく、他のリテーナーと併用することもあり、例えば、プレート型を使用している人が日中はマウスピース型を使用するといったケースの使い方もされます。
マウスピース型は目立ちにくくて歯並びを保つという点でも優れているというメリットはありますが、上下で装着すると歯の間にマウスピースが介在していて直接かみ合うことができないため、積極的にかみ合わせの安定を図っているときには向かない場合もあります。
また、噛みしめが強い人や歯ぎしりがある人はマウスピースに穴が空いてしまうなど耐久性はプレート型に比べて劣ります。
ワイヤー型
- ◆見た目が良い
- ◆違和感が少ない
- ◆清掃が難しいため歯科でのクリーニングが必要
ワイヤー型は固定式の細いワイヤーを歯の裏側に接着させて使用する保定装置です。
歯を直接固定している分、動きやすい部分を強固にとどめておく点において効果が一番期待できるのがワイヤー型です。
ワイヤーの固定が歯の裏側なので、見た目は装着物が見えることなくいられるのがメリットですが、固定式なのでセルフでは清掃が難しいため、定期的に歯科でのクリーニングが必要です。
プレート型
- ◆清掃がしやすい
- ◆見た目に難あり
- ◆慣れるまで違和感がある
プレート型のリテーナーは個人の歯型を採取し、「レジン」という素材で床を作成されており、プレートの外側になる歯の周りの部分をワイヤーが取り巻いています。
歯の表の部分にあるワイヤーを透明のプラスチックや乳白色のファイバー製にして外側からの見た目は目立ちにくくリテーナーを作成することも可能です。
とくにプラスチック製にした「QCMリテーナー」等は、見た目で目立ちにくいため、人前に出る機会が多い人におすすめです。
いつまでリテーナーを装着するのか
矯正後に歯の周辺組織が新しく形成されるまで1年は歯の後戻りする力が強く働くため、装着しておく必要があります。
1年経ったら外しても大丈夫かというと、まだ十分とはいえないため、2年以上はリテーナーを装着していなくてはなりません。
なぜなら、1年が過ぎると次第に歯は安定してくるものの、2年以上経過しないと不安定な状態であることに変わりないからです。
リテーナーの1日の装着時間
リテーナーを装着している効果を最大限に発揮して「後戻り」を防ぐためには、リテーナーの装着時間が重要なポイントになります。
矯正終了直後は特に歯が後戻りしやすい状態にあるため、ほぼ1日中リテーナーを装着して過ごすことになりますが、しっかりと医師から指示された装着時間を守る必要があります。
リテーナーを装着して過ごす時間は歯の位置が安定するにつれて短くなっていきます。
経過期間と1日の装着時間の目安は以下の通りです。
- ◆矯正終了後~約3か月
1日20時間:歯磨きや食事の時間以外は装着して過ごす - ◆約3か月後~半年
1日の約半分:在宅している時間は装着して過ごす - ◆約半年後~2年
夜間のみ装着して過ごす - ◆約2年:保定期間終了
上記のスケジュールはあくまで目安なので、装着して過ごす時間や歯の安定具合によっては前後する可能性があります。
自己判断はせず、医師に伝えれた期間を守りましょう。
保定期間中の通院はどのくらい?
矯正終了後の保定期間中には「後戻り」していないかどうか経過観察するため通院が必要になりますが、その頻度は矯正期間中よりも少なくなります。
状態によって変動はあるものの、およそ3か月から6か月に一度のペースでの通院になることが多いです。
特に保定期間の初期段階は矯正が終わったばかりなので、3か月に一度の通院が必要です。
リテーナーを使用しているときは痛い?
矯正治療中の矯正装置に痛みを感じていた場合、保定装置も痛みがあるのかと心配になるかもしれませんが、保定装置は矯正装置のように歯を動かす目的の装置ではないため、矯正治療中のような痛みを伴うことはほぼありません。
しかし、リテーナーの装着をサボって長い間外してしまうと、装着時に歯が押し戻される感覚や窮屈さを感じる場合があります。
なぜなら、歯が固定されておらず不安定な状態だからです。
特に矯正終了直後の保定期間の初期にはその傾向が強くみられるので、歯磨きや食事のとき以外は常にリテーナーを装着しておくようにしましょう。
リテーナー装着で痛みを感じるときは?
リテーナーの装着で痛みを感じることは皆無かというと、痛みを感じることもあります。
その場合は、リテーナーが口腔内であたっていて痛みを感じているか、正しく装着できていないために痛いのかもしれません。
リテーナーの装着で痛みを感じる場合は何等かの不具合が考えられるため、すぐにクリニックで相談しましょう。
きつい、浮いた感じがする、フィット感がない
装着時に多少のきつさを感じても装着可能なら心配しなくても大丈夫です。
多少の「後戻り」の可能性が考えられますが、装着可能な範囲であれば、リテーナーの効果により自然に歯を正しい位置へと誘導してくれるはずです。
しかし、浮いてしまいフィット感を感じられない場合はリテーナーの効果を十分に発揮できないので、歯科医院やクリニックでの調整が必要です。
前歯が動いた感じがある、デコボコが気になる
前歯が動いたように感じたり、デコボコが気になったりする場合はリテーナーの装着時間が不足していり、またはしっかりと装着ができていないために「後戻り」が起こっている可能性が高いです。
違和感ををそのままにしていると、リテーナーの効果が十分に得られていないまま時間が経過して「後戻り」が大きくなってしまうため修正不可能になりかねません。
そうならないためにも違和感があるなら、早めに受診をしましょう。
「後戻り」しないために意識することはある?
矯正後の歯の後戻りを防ぐためにリテーナーを装着すること以外に意識しておきたいことを紹介します。
舌の動きなど口腔内の癖に注意する
舌を歯の裏に当てたり、舌を前に突き出したりなど、歯や口腔内に圧力がかかるように舌を動かす癖がある場合は注意が必要です。
また、頬杖やうつ伏せで寝たり、横向きで寝たりといった外側からの圧力でも歯に影響を与える可能性があるので気を付けましょう。
親知らずによる圧迫
親知らずは人によって、横向きに生えるなど歯列に圧力を加える可能性があります。
もし、歯並びに悪い影響を与えていなかったとしても、横向きや斜めに倒れているなどの生え方をしていることで汚れがたまりやすくなり、虫歯や歯周病の原因を引き起こすことになります、
親知らずの生え方が気になる場合には、早めに医師に相談してみましょう。
リテーナーの料金はどのくらい?
リテーナーにはさまざまな種類があるため、料金は装置によって異なります。
プレートとワイヤーが組み合わさったリテーナーなど耐久性に優れ、長く使用できるタイプは作製コストも高くなります。
しかし、作製コストが低めに抑えられる素材の場合は、割れ変形などの耐久性が劣る可能性があります。
また、クリニックや歯科医院によって、リテーナーの費用も矯正治療の費用に含まれている場合もあるなど、リテーナー装置の取り扱いや料金が異なります。
リテーナーの費用の目安
「マウスピース型」「ワイヤー型」「プレート型」のそれぞれの費用の目安を紹介しますので、参考にしてみてください。
耐久性が高くなるほど、費用も高くなります。
マウスピース型
上下:10,000~20,000円
ワイヤー型
上下:20,000~60,000円
プレート型
上下:20,000~60,000円
リテーナー装着についてよくある質問
リテーナー装着期間中のことについてよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
リテーナーをつけ忘れたらどうなる?
日常で自覚していないだけで、食事や会話のときなど歯はわずかですが常に動いています。
リテーナーの装着を忘れてしまっても数日程度であれば、大きな影響や後戻りはみられないと考えられますが、数週間単位で装着せずにいるとしたら「後戻り」の大きな要因になりうるので注意が必要です。
旅行や出張などでも忘れないようにリテーナーの装着期間の重要性を意識しましょう。
リテーナーをつけたまま食事はできる?
先述のとおり、リテーナーには取り外しが可能なタイプと固定するタイプがあり、固定するタイプのリテーナーは自分で取り外すことはできませんので、食事中も装着したままになります。
取り外しが可能なタイプの場合は、食事の際は取り外すことができるので外して食事することが可能です。
歯の汚れが残っていると虫歯や歯周病になる恐れがあるため、どちらの場合も食事の後は歯磨きなどのケアが必要です。
特に固定するタイプのリテーナーを装着している場合は清掃が困難なので定期的に歯科医院やクリニックでのクリーニングを受けるようにしましょう。
また、どのタイプのリテーナーを装着している場合も効果的な清掃方法を教えてもらえるので、ブラッシング指導を受けましょう。
歯磨きのときはどうする?
取り外し可能なタイプのリテーナーを使用している場合は、取り外して歯磨きをしてください。
固定するタイプのリテーナーを使用している場合、はじめに歯科医師や歯科衛生士から指導を受けるので、その方法を守ってお手入れしてください。
また取り外し可能なタイプのリテーナーは装置のクリーナーを使用して定期的にメンテナンスも行うようにしましょう。
リテーナーはずっと同じものを使う?
リテーナーは先述した装着期間にもあるように原則的には2年程度使用することになります。
その耐久性については、素材やタイプによって差がでてくることが考えられます。
壊れたり、穴が空いたり、紛失したりした場合は作りなおすこともあるでしょう。
リテーナーを作り直した場合はどうなる?
治療費に含まれていたり、素材によって値段が異なったりしてリテーナーの金額は把握しにくいものですが、リテーナーは基本的に高価なものです。
作り直す場合や予備が欲しいといった場合、はじめに作ったときと同じ費用がかかるか、多少の割引をしてくれるかは歯科医院やクリニックによって異なります。
リテーナーは矯正後の歯を安定させるためになくてはならないものなので、リテーナーを矯正治療と別料金にして保定期間を避けることがないよう、治療費にリテーナー費用も含むところが増えているようです。
リテーナーを卒業したら美しい口元に
矯正期間が終了しても、さらに2年間は保定期間でリテーナーの装着が必要になるのが負担に感じるかもしれませんが、せっかく美しくなった歯並びを定着させるためにはどうしても必要な期間です。
リテーナーの装着期間を終えれば美しい口元を手に入れることができます。
最後までしっかり保定を完了させて整った歯並びを維持していきましょう。