歯科衛生士の仕事内容とは?三大業務や歯科衛生士になる方法&魅力について

歯科医院で働く歯科衛生士は、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。

  • ・歯科衛生士の具体的な仕事内容とは?
  • ・歯科衛生士になるには?
  • ・歯科衛生士の就職先は?
  • ・また歯科衛生士の魅力とは?

これから歯科衛生士を目指す方はもちろん歯科衛生士という仕事に興味のある方のために仕事内容をまとめましたので、ぜひご覧ください。

歯科衛生士の三大業務とは

歯科衛生士三大業務

歯科衛生士の業務内容は大きく分けて3つです。

「歯科衛生士の三大業務」と呼ばれるほど、基本の業務内容となります。

  1. 歯科予防処置
  2. 歯科保健指導
  3. 歯科診療の補助

基本の業務内容について、内容を説明します。

歯科予防処置

歯科予防処置とは、虫歯や歯周病を防ぐための予防処置です。

歯垢(プラーク)や歯石といった口内の汚れを取り除いてクリーニングします。

セルフケアでは難しい部分まで定期的に歯科衛生士がケアをしてくれるので、歯のトラブルを防げるでしょう。

歯と歯茎の状態を確認し、歯周病の検査をするのも歯科衛生士の仕事です。

歯科保健指導

虫歯や歯周病の治療をした患者さんに歯ブラシや歯間ブラシの使い方を指導したり、食生活の指導をしたりするのが歯科保健指導です。

歯ブラシや歯間ブラシの使い方だけでなく、虫歯になってしまうメカニズムや健康への影響を説明する場合もあります。

虫歯や歯周病になる生活習慣を見直し、患者さんご本人に正しい口腔習慣を身に着けてもらうための指導です。

歯科保健指導は歯科医院内のみでなく、保育園や学校、高齢者施設などで行われる場合もあります。

歯科診療の補助

歯科医師の指示のもと、診療や治療の一部を補助するのも歯科衛生士の仕事です。

口の中に溜まった水分を取り除いたり、歯型をとったり、薬を塗ったりするなどの作業があります。

患者さんの口に直接触れられるのは、歯科医師以外には歯科衛生士のみです。

治療を受ける患者さんの心のケアをしつつ、適切な処置ができるようにするのも重要な仕事のひとつとなります。

歯科衛生士の仕事内容

歯科衛生士仕事内容

歯科衛生士の仕事内容は、歯科医院全般の業務ではありません。

歯科医院では、歯科医師や歯科助手といった人も働いていますので、仕事内容の違いについてご説明します。

  1. 歯科衛生士がやってはいけない仕事
  2. 歯科助手との違い

歯科衛生士がやってはいけない仕事

歯科医院で行われる治療には「絶対的歯科医行為」と「相対的歯科医行為」があります。

絶対的歯科医行為とは歯科医師しか行えない医療行為で、歯科衛生士は対応できません。

相対的歯科医行為は、歯科医師の監視のもとで歯科衛生士が行える仕事となります。

絶対的歯科医行為とは

歯科医師のみが行える絶対的歯科医行為とは、以下のような業務になります。

  • 抜歯する
  • 神経を抜く
  • 歯茎を切開する
  • 歯を削る
  • 被せ物を装着する
  • 麻酔注射をする
  • レントゲン撮影をする

これらの行為は歯科医師の監視があったとしても、歯科衛生士は行えません。

相対的歯科医行為とは

歯科医師の監督下で歯科衛生士でも行える相対的歯科行為は、以下のような業務です。

  • 歯石除去
  • ホワイトニング
  • 表面麻酔の塗布
  • 仮歯の装着

歯科助手との違い

歯科医院には歯科衛生士の他にも、「歯科助手」と呼ばれる方がいます。

歯科助手とは、受付や会計、歯科医師や歯科衛生士の補助をする役割の仕事です。

歯科衛生士との大きな違いとは、医療行為ができないという点になります。

歯科助手は特別な資格がなくても就ける仕事ですが、歯磨き指導も行ってはいけません。

歯科医師や歯科衛生士との連携、患者さんからの信頼が必要な立場です。

歯科衛生士になるには

歯科衛生士なるには

歯科衛生士は国家資格が必要な仕事です。

そこで歯科衛生士になるには国家資格を取得する勉強から始めなくてはいけません。

歯科衛生士になるには、最低でも3年以上が必要で、国家試験に落ちてしまうとさらに時間はかかります。

歯科衛生士になるためのステップは、以下の通りです。

  1. 歯科衛生士養成機関で3年間勉強する
  2. 国家試験を受ける

歯科衛生士養成機関で3年間勉強する

厚生労働省に指定された専門学校や大学、短大といった歯科衛生士養成機関で、3年間専門スキルを学習します。

歯科衛生士の偏差値は35~53と幅がありますが、難易度はそこまで高くないといえるでしょう。

大学だと卒業までに4年間の時間がかかるので、早く資格を取得したい場合には専門学校を選ぶのがおすすめです。

これらの歯科衛生士養成機関を卒業しないと、国家試験受験の資格はありません。

国家試験を受ける

歯科衛生士養成機関を無事に合格すると、国家試験受験の権利が与えられます。

1年に1回国家試験が開催されており、合格率は95%前後と毎年高水準です。

3年間の勉強をきちんとしていれば、難易度はそこまで高くない試験といえそうですが、毎年数%の受験者は不合格となっていますので気を引き締めて試験に臨みましょう。

もし不合格になってしまったら1年後に再受験し、資格取得を目指します。

歯科衛生士の就職先

歯科衛生士就職先

歯科衛生士の就職先にはいくつか選択肢がありますので、働きやすい職場を探してみましょう。

  1. 歯科医院
  2. 大学病院・総合病院
  3. 介護施設・福祉施設
  4. 保健センター・保健所などの行政機関
  5. 企業・学校

歯科医院

歯科衛生士の主な就職先となるのが、歯科医院です。

歯科医院は全国に6万件以上あります。

一般的な診療だけでなく、ホワイトニング専門やインプラント専門など特色のあるクリニックも少なくありません。

歯科医院では、歯石の除去やクリーニングが歯科衛生士の主な仕事内容となります。

歯科衛生士の基本的な業務となりますので、キャリアのために複数のクリニックを経験するという方もいます。

大学病院・総合病院

歯科医院からの紹介で来院する、難しい治療が必要な患者さんが集まる大学病院でも、歯科衛生士が活躍します。

大学病院では、外科的な処置が必要なケースも少なくありません。

歯科・口腔外科では歯科医師の補助業務が多くなるでしょう。

手術の補助をする場合には緊迫した状況での業務になりますが、その分やりがいも感じられるはずです。

歯科医師だけでなく、他の科の医師や看護師とのコミュニケーションも必要で、チーム医療としての規模も大きな職場となります。

介護施設・福祉施設

介護施設や福祉施設も歯科衛生士が必要な職場となります。

歯科衛生士は口腔ケアのスペシャリストとして、入れ歯の不具合や歯茎の不具合を確認します。

お年寄りは噛んだり飲み込んだりする力が弱くなっていますので、誤嚥性肺炎予防のケアや摂食嚥下のリハビリのための体操などの指導も必要です。

入居者1人1人にとって必要な口腔ケアを行い、食べる楽しみを感じてもらう大きな役割を担います。

歯科医院や大学病院では歯科医師との連携が重要ですが、介護施設・福祉施設では介護職員・看護師・理学療法士・栄養士といったメンバーとのチーム連携が重要になります。

保健センター・保健所などの行政機関

都道府県や市町村の保健センターや保健所のような、行政機関で仕事をする歯科衛生士もいます。

公務員で離職率も低く、人気のある就職先といえるでしょう。

保健所や保健センターで働く医療職には、歯科衛生士だけでなく、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などがあります。

保健所や保健センターで働く歯科衛生士の主な仕事内容は、以下のような内容です。

  • 乳幼児の歯科検診での歯磨き指導
  • 妊婦検診での虫歯予防相談
  • 保育園や小学校での歯磨き指導
  • 高齢者の口腔診査
  • 高齢者の訪問歯科診療

虫歯の予防やケアというよりも歯科検診などの内容が多く、市民のニーズに応えていくのが仕事となります。

企業への就職

全体の0.2%程度とかなり少ない割合ですが、企業に就職する歯科衛生士もいます。

自社製品の商品開発に携わったり、歯科衛生士としての経験を活かしてセミナー講師になったりという場合もあるようです。

ただし企業に就職するとなると、歯科衛生士としての技量だけでなくビジネスマナーやスキルも求められる可能性もあります。

歯科衛生士に向いている人

歯科衛生士向いてる人

患者さんの口の健康を守る歯科衛生士に向いている人とは、どのような人なのでしょうか。

国家試験を受ける前に、本当に自分に向いている仕事なのかを考えておくといいでしょう。

向いている人の特徴は次の2つです。

  1. 上手にコミュニケーションがとれる人
  2. 手先が器用な人

それぞれについて解説します。

上手にコミュニケーションがとれる人

上手にコミュニケーションがとれる人は歯科衛生士に向いています。

歯磨き・虫歯になってしまうメカニズム・健康への影響の説明も、歯科衛生士の大事な仕事のひとつです。

患者さんにもいろいろな性格の人がいて、生活習慣やこだわりも個性があるものです。

患者さんが子供や高齢者の場合もありますので、多くの方にわかりやすく安心して治療を受けていただける雰囲気作りができるとよいでしょう。

また歯科衛生士は歯科医師や歯科助手、職場によっては他の科の医療チームとの連携も欠かせません。

いろいろな人と上手にコミュニケーションがとれる人が、歯科衛生士に向いているといえるでしょう。

手先が器用な人

手先が器用な人も歯科衛生士に向いています。

歯科衛生士は患者さんの口の中を触る仕事です。

歯石をとったりクリーニングをしたりと、細かい作業が多くなりますので手先が器用な人が向いているでしょう。

うっかりミスで怪我をさせることはできないため、集中力もあって丁寧に仕事ができる人が好まれます。

歯科衛生士の魅力

歯科衛生士の仕事は、国家資格を取得するまでに少なくとも3年の時間がかかります。

本当に歯科衛生士を目指すべきか、どんな魅力があるのか、気になる方もいるでしょう。

歯科衛生士の仕事の魅力には、このような項目があります。

  • 国家資格なので一生働ける
  • 残業が少ない
  • 求人倍率が高いので仕事を選べる
  • 結婚・出産後も復職しやすい
  • キャリアアップも目指せる

歯科衛生士は国家資格なので、結婚や出産をしたとしても復職しやすく、一生働けます。

歯科医院は予約を受けて診察をしますので、残業がほとんどないのも魅力のひとつといえるでしょう。

歯科医院は全国に多くありますので求人倍率が高く、引っ越しや転職でも就職先が見つかりやすいというメリットもあります。

まとめ

歯科衛生士という仕事は、高齢化が進む現代において重要な職業です。

口腔機能の向上は健康寿命を延ばすともいわれています。

自分の歯を維持するという意味だけでなく、口腔状態を健康に保つのも重要でしょう

歯科衛生士の主な仕事は、歯石や歯垢(プラーク)の除去やクリーニングとなります。

定期的なケアかもしれませんが、このケアが患者さんの笑顔につながっているため、とてもやりがいのある仕事です。

国家資格を取得すれば一生できる仕事で、求人倍率も高いという特徴があります。

将来性もある職業ですので、興味のある方は歯科衛生士を目指してみてはいかがでしょうか。

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