拡大床とは|メリット・注意点や手入れの方法も解説します

執筆者情報:小室 敦

拡大床とは|メリット・注意点や手入れの方法も解説します

当記事では、拡大床の概要や使用目的、種類、使用する上でのメリットや注意点、手入れの方法などについて解説します。拡大床について知りたい方、拡大床を使用する方は、ぜひお読みください。

拡大床とは?

拡大床とは、歯が正常に生えるための空間が不足している場合に使用する装置のことです。拡大床は主に、子どもが歯列矯正を行う際に使われるものです。なお大人であっても、歯の症状によっては拡大床を使用することがあります。

子どもが矯正を行う場合、拡大床のみで治療するケースもあります。対して大人の場合は、ほかの方法と組み合わせて治療するケースがほとんどです。組み合わせるものの例としては、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などが挙げられます。

拡大床を使用する目的

拡大床を使う基本的な目的は、歯列にスペースを生み出すことです。上下の顎に生えた歯を外に向かって広げることで、歯を抜くことなく空間を作り出します。空間を生み出すことで、歯と歯の間に余裕が生まれ、歯列に対して歯がきれいに並びやすくなるのです。

空間を生み出す以外に、歯の傾きを整える目的で使用されることもあります。

拡大床の種類

拡大床には、主に「プレートタイプ」と「スケルトンタイプ」という2つの種類が存在します。それぞれの概要は、以下のとおりです。

  • プレートタイプ

レジンでできたプレートを使用するタイプです。プレート、金属でできたワイヤー、歯列を広げる力をちょうどよく保つネジの3つからできています。

  • スケルトンタイプ

プレートを使用せず、バネ・ネジ・ワイヤーなどによって歯を広げるものです。

拡大床を活用するメリット

メリットデメリット
拡大床を活用することで、以下のメリットを得ることが期待できます。

 

  • 抜歯の必要がなくなる
  • 骨格の形を改善できる
  • 目立たない
  • 自分で取り外しが可能

 

①抜歯の必要がなくなる

歯列矯正を行う際、歯の凹凸具合が大きかったり顎のサイズが小さかったりする患者さんについては、抜歯を行うことがあります。抜歯によって歯列にスペースを作り出さないと、歯がきれいに並ばない可能性があるためです。

しかし「歯を抜く」と聞くと、恐怖を感じる患者さんも少なくないのではないでしょうか。抜いた永久歯は戻ってこないため、せっかくの健康な歯を取り除くという点には不安を感じる方も多いでしょう。

拡大床を活用して治療を行えば、歯を抜かず歯列にスペースを生み出せる可能性が高まります。健康な歯を1本でも多く残したい方にとっては、安心感の高い治療方法だといえるでしょう。

②骨格の形を改善できる

頭蓋骨を持つ医師
拡大床を使用することで、歯並びだけでなく骨格の形も改善できる可能性があります。骨格によい影響を与えることで「歯の見た目が整う」以外の恩恵を得られるケースもあるでしょう。たとえば、上の顎の骨を拡大すれば、鼻詰まりが改善されて鼻呼吸を行いやすくなることがあります。

③目立たない

拡大床は歯列の舌側に装着するため、着用中も周りに知られにくいという強みがあります。

歯の表側に取り付ける装置の場合「人前に出ることが多いから」「あまり矯正をしていると知られたくないから」という理由で治療を躊躇してしまう方も少なくありません。しかし拡大床であれば、口を開けて笑っても目立ちにくいという特徴があるため、安心して治療が行えます。

④自分で取り外しが可能

拡大床は、患者さん自身が自由に取り外し可能となっています。さらに、一日中着用している必要がないという強みも持っています。1日のうちに最低12時間はつけていなければなりませんが、規定の時間さえ厳守できれば、外出時や仕事中などの外したいタイミングで自由に着脱可能です。

対してワイヤー矯正など一部の治療に用いる装置は、基本的に患者さんだけでは外せません。自分で取り外せない場合、口のなかに装置を入れた状態で食事や歯磨きを実施するため、ストレスがかかりやすくなってしまいます。

仕事中も装着したままとなるため、接客業を行っているような方は常に人目を気にすることになるでしょう。

拡大床であれば食事の際に取り外せるため、装置が邪魔になることがなく、治療前と同様に美味しくご飯が楽しめます。さらに毎日のブラッシングもしっかりと行えるため、虫歯や歯周病のリスクを低下させられるでしょう。どうしても人目が気になるタイミングがある場合は、その時間だけ一時的に外すことも可能です。

拡大床を活用する際の注意点

拡大床を活用する際は、以下のポイントに注意しましょう。

 

  • 拡大床のみの矯正は難しい
  • 装着時間を守る必要がある
  • 正しく手入れをする必要がある

 

①拡大床のみの矯正は難しい

拡大床を使用する場合、拡大床のみで矯正が完全に終了することはまれです。症例によっては、拡大床の治療だけで改善が見られるケースもあります。しかし基本的には、最初に拡大床で歯列を拡大したのちに、ワイヤーでできた矯正装置で噛み合わせや歯並びを整えるケースがほとんどです。

とくに大人の方の場合、拡大床単体で矯正を行うことがさらに難しくなります。多くの場合、拡大床だけでは噛み合わせや歯列を整えられないため、大人の患者さんは原則ほかの矯正装置を一緒に使いながら治療を進めていくことになります。

②装着時間を守る必要がある

目覚まし時計とめがね
拡大床は患者さん自身が自由に取り外しできるため、ストレスを抱えにくい治療法です。しかし取り外しが行えるからこそ「装着時間を守らなくなる可能性がある」というリスクが生まれる点には注意しなければなりません。

装着時間を守らないと、歯が移動する速度が落ち、治療にかかる期間が長引く可能性があります。食事や歯磨きで一度取り外したら、再度装着するのを忘れないようにしましょう。

③正しく手入れをする必要がある

拡大床は着脱が自由に行えるからこそ、定期的に取り外してしっかりと手入れを行う必要があります。手入れを怠ると、拡大床に汚れが蓄積し、口内に病気を引き起こす可能性が高まります。

手入れを行う際は、正しい方法で実施するようにしてください。方法を誤ると、拡大床を傷つけてしまうことがあるためです。拡大床の正しい手入れの方法については、以下で解説します。

拡大床の手入れの方法

拡大床は、ぬるま湯や水を使用して洗浄します。バネやネジでできたパーツは、歯ブラシで擦って洗うと汚れが落ちやすくなります。

洗浄の際、歯磨き粉などは用いないようにしてください。歯磨き粉などを使用した場合、配合された研磨剤によってダメージを与えてしまうことがあるためです。水洗いだけではどうしても汚れが気になるという場合は、拡大床に使える専用の洗浄剤を使用することも検討してみましょう。

まとめ

拡大床とは、歯列を拡大させてスペースを生み出すことで、歯をきれいに並べやすくする装置のことです。拡大床で治療を行えば、抜歯をせずに歯並びを整えられる可能性があります。

拡大床を使用する場合、定期的な手入れを行ったり、装着時間をしっかりと厳守したりしなければなりません。手入れや着脱に関する自己管理を徹底する必要がある点には、注意が必要です。

歯科医院に通いたいと思っている方のなかには、治療にかかる費用や期間、痛みなど、さまざまな悩み・不安を感じている方も多いでしょう。

表参道AK歯科・矯正歯科ではこうした患者さんが抱えやすい悩みや不安への心配りを行い、安心して通える医院となることを目指しています。歯列矯正を検討している方、歯に関する悩みや不安をお持ちの方は、ぜひご来院ください。

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